2015.07.22 | セミナー
梅雨も明けて蝉も鳴き始めた7/22(水)の早朝、第42回ルグラン朝会を開催しました。

今回のルグラン朝会は、6/11にリニューアルオープンした千駄ヶ谷のGood Morning Cafeに場所を移しての開催となりました。


この日、テーマに取り上げたのは、先日のカンヌライオンズ速報セミナーでもご紹介した、動画広告によるブランドリフトの評価手法について。閲覧回数だけではわからない、ブランド認知の広がりをどのように評価するかを、2つの具体的なキャンペーン動画を例に挙げてご紹介しました。

テレビやTwitterなどで話題となり、1,500万回もの閲覧回数を獲得している「3秒クッキング 爆速エビフライ篇」のキャンペーン動画は、視聴した方も多くいらっしゃるかと思います。しかしながら、会社名や商品名がTwitterやブログでつぶやかれた回数、検索数を測定してみたところ、つぶやきや検索が大きく増えた形跡は見られませんでした。そこで、弊社泉からは、ブランド認知をあげるためには、例えば、Twitterで拡散する際、元ツイートにブランド名やサービス名を必ず記載する等の改善方法をご紹介しました。

カンヌライオンズ速報セミナーでも聞かれましたが、日本では、面白くてバズる動画や、テクノロジーを駆使した動画コンテンツは多いが、海外のように動画から議論が巻き起こり社会的に広がるという動きがあまりないというご指摘があり、そこまで考えた戦略を立案するのが重要との声や、日本人の特性、SNSの普及率にもよるのではという意見もあり、今後の動画プロモーションについてさまざまなディスカッションを行いました。


また、日本では大手企業の方がブランド戦略に重点を置いている傾向があるように思われますが、本当は名前も知られていないベンチャーのほうが、ブランド戦略の立案や効果的なプロモーションに力を入れるべきという意見が参加者の方から挙がりました。

参加者の方より、まもなくローンチするインバウンド向けのサービスについてご紹介いただき、参加者の皆様の中で新しいビジネスの交流もありました。


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2015.05.21 | コラム
先日のブログでお伝えしました通り、今年も弊社では『データで予測するAKB48選抜総選挙』に取り組んでおります。

5月19日から投票が始まった第7回AKB48選抜総選挙ですが、分析も完了し、近日中に皆様にも『ルグラン予測』を発表させていただく予定です。

昨日発表された速報順位では、昨年2位だった指原莉乃が1位、柏木由紀が2位、渡辺麻友が3位となっており、今年不出馬となった松井玲奈と小嶋陽菜を省くと、7位までは昨年の顔ぶれと変化はありませんでした。一方、昨年10位の須田亜香里が32位まで落ち、昨年圏外だった谷真理佳や渕上舞がそれぞれ11位、15位と急上昇しており、今年の総選挙は混戦を極めているようです。

弊社が分析した得票数予測はちょっとだけ置いておき、当ブログでは、今年の得票数の予測モデルを構築する段階では利用するに至らなかった、TVやCMの出演時間データの傾向について、興味深い点をいくつかご紹介します。

まず、今年の予測モデル構築にあたり、過去2回の予測モデルとの大きな違いは、TV・CMの出演時間データを利用しなかったことがあげられます。

予測モデルを構築する際には、去年の得票数と今年の各データ(ブログやTwitterでのクチコミデータ、TV・CMの出演時間データなど)との間に相関関係があるかについて分析し、相関が高い(=関係が強い)データを予測モデルに組み込んでいきます。そのため、相関が低い項目については、予測モデルの構築に適していないため、利用することができません。

過去のデータについて、各年の実際の得票数とTVの出演時間の相関を分析すると、図1のグラフのように2012年以降は、相関係数(相関の高さを表す数値で、最大が1)が徐々に低下してきており、得票数とTVの出演時間との間の関係は弱まってきていることがわかります。今年のデータにおいても、2014年とほぼ同程度の相関係数となっていたため、予測モデルの構築から除外しました。

この傾向の要因については以下2点が考えられます。

 
1、 地方グループメンバーの台頭
2012年と比較すると、SKE48やNMB48、HKT48などの地方グループが増え、人気も徐々に高まってきているため、地方グループのメンバーが総選挙上位に食い込んでくる割合が高くなっています。一方、今回分析で利用したTV・CMデータには、ローカル番組での出演データが含まれていないため、地方グループメンバーはAKB48に比べるとTVの出演時間は減少してしまいます。そのため、地方グループのメンバーにおいては、どうしても得票数とTV出演時間の相関が低くなってしまう傾向にあり、得票数の予測には向いていない指標となってしまいます。

2、 AKB48の冠番組には中堅メンバーや運営からの「推しメン」が出演
分析に利用したTVの出演時間データでは、出演していた番組名まで知ることができます。そこで、総選挙の順位は上位ではないが、TVの出演時間が多いメンバーの出演番組を調べてみると、AKB48の冠番組に出演していることが多く、もちろんそれらの番組ではAKB48メンバーがメインとなるため、他番組だと1時間番組の場合、1人あたり平均8分程度の出演時間ですが、AKB48の冠番組の場合、15分程度の出演時間となっていました。また、冠番組の場合は人気上位者が出演というよりも、バラエティ受けするメンバーや運営側が推しているメンバー(推しメン)が多く出演する傾向にあるため、ファンからの人気を反映した総選挙の得票数との関係は弱くなると考えられます。

また、図2のグラフでは、AKBグループ全体でのTV・CMの出演時間をまとめていますが、CMの出演時間に着目すると、2012年をピークに2013年以降は平均約60%も低下しています。これは、AKBメンバー全体でのCM起用が減少したためと考えられますが、2012年に不動のセンターであった前田敦子が卒業したことも影響しているでしょう。

2014年には地方メンバーも全国ネットのCMに出演する機会が増え、全体的な出演時間は増加しましたが、今年はCMの出演時間が過去最低となっており、これは2014年に大島優子が卒業したことが影響していると推測されます。過去のデータを見ていくと、総選挙で1位になったメンバーは、翌年CMの出演時間が大きく増加する傾向にあり、総選挙1位という人気と認知度の拡大を利用して、企業側はCMの起用を決めるのかもしれません。


今年は予測モデルには利用しなかった(できなかった)TV・CMの出演時間データですが、分析をし、さまざまな角度から考察をしてみることによって、AKB48のブランド戦略が見えてきた気がします。

以前、AKB48とももクロの人気について比較した際に、「AKB48は個人のバラ売り戦略を総選挙にて実施したことによって、他のアイドルグループと差別化され、人気を獲得した」という考察をしました。

今回のデータも合わせて考えると、TVには中堅メンバーやバラエティ受けするメンバーが多く出演、CMには人気上位者が出演と、活躍する層を変えることによって、選手層に厚みを持たせ、各個人の個性を適した場所で発揮させることで、各々のメンバーの人気を拡大するための施策をとっているのではないでしょうか。

ただ、TV・CMへの露出が減少してきたことから、その人気も、相次ぐ人気メンバーの卒業により衰退してきているように感じられるため、AKB48は新たなブランディング施策の実施が必要となってくるでしょう。

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