2017.09.21 | UX

前回に続き、今回も先日ロンドンで開催されたAviation Festivalの情報をご紹介します。
3日間の会期中、エミレーツ航空やKLMオランダ航空、カンタス航空など、世界のエアラインのトップが次々と登壇し、新たな技術や、収集・蓄積されるデータを、どう経営に活かしていくか、という点について話をしました。

各社の経営陣が、繰り返し強調していたのは、「旅行の手配や予約とは面倒なもの。最新の技術を活用し、それをいかにシンプルにできるかが、経営戦略上の重要な課題。」というメッセージでした。

<パネルディスカッションの様子>

たとえば、2日目のパネルディスカッションに登壇した、米国の格安航空会社(LCC)ジェットブルー航空のCIO Eash Sundaram氏は「自分たちのロールモデルはUberであり、Airbnbだ。」と発言。

UberやAirbnbのサービスが多くの人々に受け入れられているのは、最新の技術を開発したからではなく、タクシーや宿泊の予約・手配という体験そのものを便利で簡単なものにするためのアイディアが優れていたからであり、技術は、その実現のために使われているに過ぎない、と言います。

さらに「多くの消費者は、自分でできることは自分で解決したい。」と考えており、最新の技術は、その手助けをするために使われるべきだとした上で、航空業界においては、そうした消費者の「セルフサービス志向」への対応が遅れているという指摘もありました。

一方、3日目の基調講演に登壇したKLMオランダ航空のCEO Pieter Elbars氏からは、「幸せな従業員だけが、顧客を幸せにできる。」という考え方のもと、同社では、従業員の生産性向上のために、最新技術の活用を積極的に進めているという話がありました。

<KLMオランダ航空CEO Pieter Elbars氏>

その一例として紹介されたのが、客室乗務員向けのタブレット端末。ここに搭乗者の情報や過去の利用履歴などの情報を集約させることで、客室乗務員は、搭乗者一人ひとりの情報をチェックしながら、最適なタイミング・シチュエーションで、パーソナライズされたサービスが提供できるようにしています。

Elbars氏は「パーソナライズされたサービスを提供することは、KLMに受け継がれる伝統であるが、新たな技術の進化や普及によって、その実現が容易になっただけ。」とも話していました。

ジェットブルーもKLMも「最新技術」をこれ見よがしに打ち出すのではなく、あくまでも「顧客や利用者に最適なエクスペリエンスを提供する」という目的の実現のために、必要な技術を、必要な範囲で採用することが大切だとしています。

これは、本ブログでも何度かお伝えしてきた「カーム・テクノロジー」に通じる考え方であり、今後、世界の航空会社が、競争戦略・差別化戦略の中で、どのようなユーザーエクスペリエンスをデザイン・提供してくるのか、また、日本の航空各社も、これをどう迎え撃つのか、楽しみに見守りたいと思います。

最良のユーザーエクスペリエンスを実現するために、様々な技術をどう取り込むべきか?ルグランと一緒に考えてみませんか?



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