2021.12.10 | コラム

皆さん、いかがお過ごしですか?
早いもので今年も残すところ、あとわずか。年齢と共に時間の経過を早く感じる理由について、以前、高校時代の担任の先生に聞いたことがありました。先生曰く、「やる事が増え、効率が下がるから」とのこと。まさしく、そのお言葉を日々実感する今日この頃です。笑

そんな忙しい人達にとって、広告は役に立つものなのかどうか、このブログで考えてみたいと思います。

Think Searchキャンペーン

Overture(現ヤフー)というアメリカのベンチャー企業が検索に連動させて広告を配信するという、当時はかなりセンセーショナルな広告モデルを世に送り出したのが2000年頃。その広告モデルは「検索連動型広告」というサービス名で2002年に日本でもスタートしました。(検索連動型広告の名付けの親は私です)

検索連動型広告の認知向上に、当時Overtureの社長だった鈴木茂人氏と私はしゃかりきになっていましたが、同時に、必要な商品・サービスを探している人に、適確な広告を出すという新たな方法に、これまでの広告の在り方を大きく変える可能性を感じていました。

当時、広告と言えば、潤沢な予算が必要とされていましたが、検索連動型広告は、大げさに言えば1クリックあたりの料金さえ払えれば、中小企業も大手と同じように自社商品を宣伝することができる画期的なサービスでした。

Think Searchキャンペーンのクリエイティブ:
Think about this. Instead of looking for customers, what if they found you? That’s the big idea behind search. 
見込み客を捜すのではなく、彼らがあなたの商品サービスを捜し求めてくる。というキャッチで検索の可能性をアピールしたOvertureのキャンペーン。

意志を持ってたぐり寄せる広告から、追いかける広告へ

検索連動型広告の素晴らしいところは、広告主・媒体・検索ユーザーの3者にとってメリットがあるエコシステムが確立されていたこと。広告主は自分達の製品やサービスに興味を持っている見込み客にだけ広告を表示することができ、検索ユーザーは探しているものを効率よく見つけることができる。これにより、媒体側の売上に繋がるというという3者のメリットがバランスよく成り立っていました。つまり、広告は人の役に立つものだったわけです。 その後、広告の手法が変化し、消費者が自分の必要としているものをたぐり寄せるのではなく、過去に見た商品や興味がありそうなモノを表示し、広告が消費者を追いかける手法が台頭。過去の購買履歴を基に追いかける広告は、長期にわたり市場を牛耳ってきました。

コロナで変わった消費者マインド

コロナの最初の感染報告から、約2年が経過しようとしています。こんなにも長い間、影響を受けるとは誰も想像しなかったでしょう。この2年で生活や仕事の仕方が大きく変わり、外出する時間が減ったことで、ネットの利用時間、また、広告への接触機会が増加。それにより、広告に追いかけられるストレス、また、広告のクリエイティブの不快感を感じる消費者が増えてきているようです。

私も広告が表示された瞬間にそのページを閉じたくなるような、不快な広告に何度も遭遇しています。不快な広告を見ると、デリカシーのない広告主に憤りを感じ、最終的にはこの企業の商品は一切購入したくない、という気持ちにさえなります。広告のクリエイティブ一つで、その企業のイメージがダウンするリスクがありますので、広告主は広告のクリック率等を検証し、クリエイティブを評価していく必要がありそうです。

過去ではなく未来に向けた広告

ルグランでは、この夏、気象データを活用した気象連動型広告配信ツール 「weathermarketing.net」をロンチしました。気象と自社の商品やサービスの売上に相関関係があると感じる企業から、多くのお問い合わせをいただいております。その中で、「売上データがあるので、まずはその分析から始めたい」というリクエストをいただくこともしばしば。一方で、コロナという誰も想像していなかった事件が全ての人の人生に影響を与えている今、過去数年のデータに価値があるのかどうか、考える必要があるそうです。

クリスマスのコーデを考え、友人へのギフトを買っていた数年前のクリスマス時期。ここ数年、残念ながらクリスマス用の華やかなコーデは実用的なセータに変わり、海外の友人へのギフトも諸々の規制により、これまでのようにはいかない状況を考えると、少々乱暴に言えば、過去データはこれからのマーケティングにはもはや役に立たないと言えるかもしれません。

人の役に立つ広告

消費者は過去データに基づく広告には態度変容を起こさなくなり、さらに、Cookielessが始まろうとしている今、マーケターは何を頼りに消費者にアプローチするべきなのか。いよいよ追いかける広告が終わりを告げ、未来の広告を考える時期が来たのではないでしょうか?

例えば、消費者が何を求めているのか、どんな時に新たなモノを購入しようと思うのか。消費者のマインドを理解するためには、シンプルに聞いてしまう、という方法もあるかと思います。大げさな調査ではなく、クイックにニーズを聞き出す方法を確立するのも一つの案かもしれません。

そして、もう一つ。Cookieless時代に注目すべきものは、気象データだと言われています。これまでも、私達は、気象は唯一無二の近未来予測ができるデータであるとお伝えしてきていますが、これを活用することで、消費者に過去ではなく、少し先に起こることを事前に提案する「未来の広告」が実現するのではないでしょうか?

Cookieless時代にマーケターと消費者を結ぶものは、気象データであるといった内容の記事がADWEEKにも掲載されていますが、欧米ではここ数年、気象データに注目が集まっているようです。


Data Source

検索連動型広告が日本でスタートしてから約20年が過ぎた今、企業都合で広告をまき散らすのではなく、消費者の課題を解決するような未来型広告を考える時期なのかもしれません。

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weathermarketing.netの詳細はこちら



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