広告体験の悪化に対する処方箋
ウェブサイトやモバイルアプリを見ていると「おじさんの目の下のブヨブヨ」やら「便器に脂がドバっと」みたいな広告が頻繁に出てきますが、こうした広告が食べ物の記事の横に出たりすると、読んでいた記事まで閉じてしまいたくなります。
「売り手」の都合によって、広告体験が悪化の一途をたどる中、多くの人が閲覧・行動履歴のトラッキングを拒否したり、広告の表示を無効化するツールを導入するなどの「自衛策」をとり始めています。
各国の政府もウェブサイトやモバイルアプリの閲覧・行動履歴データの取得・利用に対する規制を強めており、先日、日本の総務省も、閲覧履歴を広告会社に提供する場合には利用者の同意を得ることを義務化するという方針を示し、2022年にも法制化される見通しです。
つまり、これまで閲覧・行動履歴データが使える状況であったにもかかわらず、長いこと、売り手の都合を優先した広告を配信し続けた結果、いざ、利用者の意に沿った広告を出そうと思っても、時すでに遅く、閲覧・行動履歴データ活用の扉は閉じられようとしている、という状況になってしまいました。
気象データが売り手と買い手をつなぐ
閲覧・行動履歴データの収集・解析に制限が加わる中、注目されているのが気象データです。なぜでしょう?その理由は極めてシンプル。お天気によって人々の気持ちや行動が変わることを多くの人が知っているからです。
寒くなればお鍋やラーメンが食べたくなりますし、暑くなればビールやアイスが欲しくなる。その他にも、様々な商品やサービスに対する需要・売上はお天気によって変わってきます。そして、何よりの朗報は、多くの企業が、既にそのことを過去の経験から熟知しているということです。つまり、気象データを活用することで、
(1)閲覧・行動履歴データが使えない状態でも、人々のニーズや状況を推測する。
(2)天気予報という「近未来予測」にもとづいて商品やサービスを提案・レコメンドする。
といったことが実現できるようになります。なので「自社の商品やサービスが売れそうな天気の時だけ広告を出す」ということができれば、「こんなものが欲しかったんだよね。」と思ってもらえる、人々の気持ちや状況に寄り添った広告を出せる可能性も高まります。
こうした発想にもとづいて、弊社が先般リリースしたのが、気象連動型広告配信ツール「weathermarketing.net」からダウンロードしてみてください。
気象データが変える屋外広告
ウェブやアプリと異なり、「見ている人」の状況やニーズを把握することが難しく、一方通行にならざるを得なかった屋外広告の世界も、気象データの活用によって変わろうとしています。本ブログでも、以前、マクドナルドがカナダで行った屋外広告のキャンペーンをご紹介しましたが、イギリスでもeBayが気象に連動した屋外広告を実施しています。
屋外に置かれたデジタルサイネージですから、閲覧・行動履歴データなどは取りようが無い訳ですが、「天気によって人々のやりたいことは変わる」という点に着目することで、必要な商品の購入を促すような広告を実現しています。
ちなみに、弊社でもデジタルサイネージを使って、気象に連動した商品や情報をレコメンドできる仕組みを提供しています。
こちらは千葉県船橋市にあるショッピングモール「ららぽーとTOKYO-BAY」での実装例になりますが、
翌日のお天気に合わせた洋服・アイテムや、それらを販売しているモール内の店舗に関する情報を掲載することで、毎日変わるお天気にあわせたビジュアルマーチャンダイジングを実現することが可能になりました。
気象データをサービスに-Weather as a Service
これまで気象データは、主に「予報データ」として提供・利用されてきましたが、天気によって変わる人々の気持ちや行動をとらえるための「サービス」として提供することで、脱Cookie時代の新たなマーケティングの形を実現するための重要な役割を担う存在になると考えています。
Weather as a Service (WaaS)
まだ耳慣れない言葉だと思いますが、私たちルグランは、WaaSのリーディングカンパニーとなれるよう、引き続き、努力を続けていきたいと思います!
2022年がみなさまにとって(そして私たちにとっても)素晴らしい1年になりますように。