2023.12.14 | コラム

ルグランの泉です。
12/12(火)に開催された第3回目となる Weather Marketing Summit。コロナによる休止をはさみ4年ぶりとなるリアルイベント開催に、果たしてどのくらいの方が足を運んで頂けるだろうかと、少し心配でもありましたが、おかげさまで、多くの方にお申込・ご参加を頂くことができました。

年末のお忙しい中、会場までお越し頂いたみなさま、本当にありがとうございました。

また、「オンライン視聴はできないのか?」というお問い合わせもたくさん頂いておりまして、いまスタッフの方でアーカイブ視聴の準備を進めておりますが、本ブログでも、これから何回かに分けて、当日のハイライトをお伝えできればと思います。

セミナータイムテーブル

開催にあたり、まず私の方から、デジタルエージェンシーとして活動するルグランが、なぜ、気象データを使ったマーケティングソリューションの開発・提供に踏み出したのかについて、少しお話をさせて頂きました。

広告体験の善し悪しを決める「関連性」(Relevancy)

いまから20年ほど前、私は、オーバーチュアで検索連動型広告の市場をゼロから創り上げる仕事をしていましたが、その時、新しく入ってくるメンバーによく見せていたのがこちらのスライドです。

検索連動型広告のエコシステム

・検索連動型広告市場を構成する3つのステークホルダーは媒体(検索エンジン)、検索ユーザー、広告主である。
・検索連動型広告は、広告でありながら、検索結果としても検索ユーザーの期待に応えるものでなければいけない。
・媒体側のマネタイズや広告主の集客ばかりを優先して、検索キーワードと関連性の低い広告を流せば、検索ユーザーが離れることになり、それは、結果的に媒体・広告主にとっても不利益となる。

ただ、検索連動型広告においては、「意思あるデータベース」とも呼ばれた検索キーワードに、人々の意図やニーズが端的に表れていたので、「関連性(Relevancy)」の高い広告を出すことは、それほど困難では無かったように思います。

GDPR で世界が変わり始める

その後、オーバーチュアもグーグルも、主体的に入力される検索キーワードだけでなく、インターネットを利用・閲覧する人達の状況や興味・関心といった「コンテクスト」にもとづいて広告を配信するサービスを立ち上げ、これは「枠から人へ」などとも呼ばれた「オーディエンスターゲティング」広告の普及・拡大につながっていきます。

ただ、その過程で、媒体・広告主の利益が優先され、「コンテクスト」を無視した広告も多く配信されるようになり、インターネット上の広告体験は悪化の一途を辿ることになっていきますが、2016年に EU で施行された GDPR(一般データ保護規則)によって、いわゆる「ポストクッキー時代」が幕を開けます。これは、本来「コンテクスト」を理解する大切な手がかりとなるはずだった行動・閲覧履歴などのデータの利用が大きく制限されるようになることを意味します。

そして、GDPR施行と時を同じ2016年に、IBMは世界有数の気象サービス会社であるウェザーカンパニーを買収しました。

IBM×The weather company

この買収の意図について、IBMは「ポストクッキー時代において、気象データはマーケターと消費者をつなぐ架け橋となる」という説明をしています。

気象データで広告の関連性(Relevancy)が高まる理由

なぜ、気象データを活用すると人々の状況や興味・関心といった「コンテクスト」に沿った関連性(Relevancy)の高い広告が配信できるのか。それを理解する上で役に立つのが「Point of Interest(POI)」という考え方です。

気象連動方広告とは

POIとは、同じ興味・関心・ニーズ(コンテクスト)を共有する人たちが集まっている場所のことです。気象データを活用することで「雨が降っているから出かける野を躊躇している人が多い場所(POI)」や「寒いから暖かいものが食べたいと思っている人が多い場所(POI)」を特定することができるので、そこにいる人達に向けた広告・メッセージを配信することで、関連性(Relevancy)の高い広告が配信できるようになる訳です。

例えば、こちらは愛媛県にある「とべもりプラス 」という遊戯施設の広告ですが、週末が雨の予報の場合、こうした施設に出かけることを躊躇する人が増えると想定されます。しかし、とべもりプラスには「えひめこどもの城」といった屋内でも楽しめる施設があることを伝えることで、お天気が悪くなりそうな週末のプランを考えている人にとっても「役に立つ広告」になっています。

とべもりプラス

また、本ブログでは、一見、お天気と関係のなさそうなケーブルテレビへの加入申込についても、お天気に合わせて広告のメッセージを変えることで、広告に対する反応が大きく変わったというケースなどもご紹介していますので、よろしければ、こちらもぜひお読み下さい。

私の話はこれくらいにして、次回は、株式会社スケダチ代表取締役であり、私と同じ時期に、グーグル側で検索連動型広告市場の創設に携わっていた、永年の「同志」でもある高広伯彦さんの基調講演の内容をご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに。

高広伯彦さん


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