2016.03.03 | クリエイティブ
先週に引き続き、2016年2月16日(火)から17日(水)に東京ビックサイトで開催されたマーケティング・テクノロジーイベント「tfm (technology for marketing)」で興味深かったセッションについてレポートします。


「全てのインダストリーはサービス業へ」、そう語っていたのは株式会社電通エグゼクティブコンサルティングディレクター 朝岡崇史氏。「エクスペリエンスデジタルの未来予想図」をセッションテーマに、IoT(Internet of Things)を中心にこれから起こりうる社会の変革について講演。IoTは「モノのインターネット」といわれ、あらゆるモノはインターネット(デジタル) とつながることを指します。例えば手紙がEメールとなり、買い物はECサイト、井戸端会議はSNSへと変化。朝岡氏曰く、あらゆる産業はデジタルとつながり、アクセス解析などによってモノに付加価値を与えられるようになるとのこと。将来、人々の生活を一変させるプロダクトが次々と流通すると予測されていました。


さらに米GE社を事例に、IoTの時代を生き抜くための大企業の具体的なアクションを紹介。昨年10月にCEOジェフリー・イメルト氏は時代の変化について「工業会社として眠りにつき翌朝起きると、ソフトウェア解析の会社になっているかもしれない」と表現。創業100年を超える様々な産業機器を製造する企業でありながら、長年蓄えたビッグデータを解析し、あらゆる分野で最適化した価値を提供。GE社が製造する航空エンジンはリアルタイムで状況がモニタリングでき、管制室とのオペレーションやトラブルの早期発見に役立っていると説明。GEのような大企業でさえも、来るIoT時代を生きるために舵を切ったそうです。

これからは企業規模を問わず、誰もが破壊者 (destroyer) にならなければならないと締めくくられた朝岡氏のセッション。IoT時代にマーケターとして生き抜くためには、思考の枠を超えたモノの見方が大切であると感じました。

2016.02.25 | UX
先日、『ユーザーエクスペリエンス(UX)脳の鍛え方』というコラムで、羽田空港を題材に、普段から自社のウェブやアプリ、あるいはサービスの使い勝手を、ユーザーの視点に立って考えてみるという能力を鍛えておくことの大切さについて書きました。

その際にも書きましたが、『UX脳トレ』の題材は、みなさんの意識の持ち方次第で、日常生活のあらゆるところに転がっています。そこで、今回はスポーツクラブでのある体験から、UXについて考えてみたいと思います。

筆者が通っているスポーツクラブでは、受付を済ませると、会員証と引換にロッカーの扉に差し込むカードが渡されます。(このカードを差し込まないと、ロッカーのカギがかけられないので、一人で複数のロッカーを使うことはできないようになっています。)

ところが、先日、ロッカールームで困っている様子の人がいたので話を聞いてみると、『自分のロッカーが誰かに使われている』とのこと。このスポーツクラブでは、別途契約をしない限り、自分専用のロッカーというのは無いので、おかしいなと思い、改めて、この方が手に持っていたカードを見て納得。

<受付で渡されるカードにも番号が>

受付で渡されたカードには番号が振られているため、この方は、同じ番号のロッカーを使わなければならない、と勘違いしたのです。実際には、このスポーツクラブの場合、カードの番号とロッカーの番号の間には何の関係もないので、みな、空いているロッカーを見つけてカードを差し込んで使っています。

しかし、ゴルフ場などの施設では、受付でロッカー番号が書かれたカードやキーを渡されることも多く、カードに番号が書かれていたら、ロッカーの番号と結びつけて考えても不思議ではありません。

このように、ある環境や場面において、人々が自然に『これはこういう意味なのだろう』と考えることを、『アフォーダンス』と言います。ドアの取っ手に関する話は、『アフォーダンス』を考える身近な例として、よく取り上げられていますので、聞いたことがあるかもしれません。

<ドアの取っ手のアフォーダンス>

このドアは押して開ける構造になっているのですが、おそらく『引いて開ける (ために取っ手が付いている)』と考える人が多いので、仕方なく、後から 【PUSH】というシールを貼ったのでしょう。

これはドアに限った話ではなく、ウェブサイトやモバイルアプリなどでも同じです。『アフォーダンス』を無視したデザインや設計は、人々に戸惑いやフラストレーションを与えることになり、最終的には、離脱者を増やしてしまうリスクを高めてしまいます。

快適なユーザーエクスペリエンスを考える基本は、”Don’t make me think.”

つまり、考えなくとも直感的に分かる作りやデザインになっていることが重要であり、そのためには、日頃から、利用者の立場に立って考える『UX脳』を鍛えておくことが大切なのです。

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2016.02.25 | クリエイティブ
2016年2月16日(火)から17日(水)東京ビッグサイトで開催されたマーケティング・テクノロジーイベント「tfm (technology for marketing)」に参加してきました。興味深いセッションがいくつかありましたので、その内容をレポートします。

ご存知の方も多いかと思いますが、tfmではマーケティング、広報・PR、広告宣伝、営業企画・開発から 経営、経営企画、商品開発、情報システム担当者向けに、最新のマーケティング手法やノウハウをテーマにセミナーや展示を行っています。ルグランが今、特に力を入れているUXをテーマとした内容も多く、その中でも特に印象的だったのはエイトブランディングデザイン代表取締役 西澤明洋氏のセッションでした。

 
西澤氏のセッションのテーマは「企業経営におけるブランディングデザインの方法と実践」。良いものの価値を消費者に的確に伝えるための“伝言ゲーム” に必要なのは、企画開発からアウトプットのデザイン、そして販売方法までを見越した、実践的なブランディングデザインの考え方であるとのこと。西澤氏独自の開発手法「フォーカスRPCD」のフローにのせて、ブランディングの概要から最新事例までを解説して下さいました。経営において、本当に効果的なブランディングとは?マーケティングとの違いとは?コンセプトを表現したデザインとは?など、ブランド強化に悩む人達へのヒントが満載でした。
 
西澤氏の元には多岐に渡る企業からの「商品」をブランディングするプロジェクトに関する依頼あり、今回のセミナーでは、その中の「とある絨毯ブランドのブランディング」を事例として紹介。
 
ブランディングとは「差別化」 であり、“ブランディング≠マーケティング”であることを「水」を例に説明。ブランディングとは水が本当に美味しく、それを思わず人が誰かに伝えたくなってしまう「感情」を作り出すことであり、言い換えれば ”伝言ゲーム” を生み出すことであるとのこと。さらに、RPCDという考え方が大切であり、これを絨毯ブランドの例に当てはめて解説。

R....リサーチ(プロジェクト初動のためにそのブランドの強みを探し組み立てる)
P....プラン(現段階での問題点を洗い出し、コンテンツを組み立て直し、リブランディング)
C....コンセプト(そのブランドがお客に対して提供するサービスにおいて、最も重要な使命)
D....デザイン(若年層にも受け入れられる価格を抑えた現代ラインのデザインを開発)


この4つの手順によってブランディングを行い、ここからパンフレット、WEBやムービーといったコンテンツで拡散していくのだが、その際にも、「まず伝える」ということがブランディングの根幹にあることを念頭に置き、さらに一貫性を持って伝えて行かなくてはならない。また、ブランディングには、以下の3つが必要不可欠だともお話されていました。

1 熱い想いを持ったそのブランドのトップ
2 本当に人々に伝えるべき良い商品
3 それを伝えてゆくプロフェッショナルのチーム

 
私も社内で、UXの実現のためにカスタマージャーニーを基にしたエクスペリエンスマップを作成する際に、顧客行動を見直すことで真の顧客心理を探り、それにより改善策や顧客の要求に気がつくことができるという経験をします。今後も国内外のUX/UDに関する最新情報を入手し、クライアントのブランドに対する思いを伝えていくプロフェッショナルでありたいと、強く感じたセッションでした。


 

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2016.02.18 | UX
UXランキング(航空会社編)の個別ランキング解説。日本航空(JAL)に続いて3位に入ったのは全日空(ANA)のウェブサイトでした。

ANAのウェブサイトも、昨年5月にリニューアルされましたが、正直、最近リニューアルされたサイト、とは感じにくい古さが残っているという印象を受けます。ウェブサイトの上部には、”Inspiration of Japan”というタグラインも記載されていますが、サイト全体を見ても、このタグラインを体現するようなブランドメッセージが表現されているとは言いがたい状況です。

<ANA ウェブサイトのトップページ(PC・モバイル)>

フライトの検索結果のページは、前回ご紹介したJALに比べると、情報も見やすく、「最安値」で利用するための情報も、JALに比べるとわかりやすく表示されています。

ただ、PCサイトの上部に適用料金の条件が記載されていますが(=赤い点線で囲った部分)、「予約変更」「払い戻し」といった項目と離れて、太線で囲まれた中に「可(手数料あり)」と書かれているため、これが何を指しているのか非常にわかりづらいレイアウトになっています。

<フライトの検索結果(PC・モバイル)>

また、モバイルサイトでは、最安値で利用できる往路と復路の組合せを一覧から確認・選択できるようになっているのに対し、PC サイトでは、検索された往路・復路それぞれの日程中で、最安値のフライトが表示される仕様になっているというバラツキが見られます。

第1位のジェットスタージャパンや、JALの解説の中で紹介したキャセイパシフィック航空などの例をみても、最安値で利用できる日程の選択を容易にする仕様になっているのは、今後、さらに激化が予想されるLCCとの運賃競争も意識しているためと考えられます。そういう意味では、ANAについても、フライトの選択画面については、モバイルサイトの仕様をPCでも採用した方が良いように思われます。

なお、国内線の予約について、2か月より先の日付を選ぶと「エラーメッセージ」 が出てきます。実際には、2ヶ月より先の予約は、料金体系が変わるため、通常の予約プロセスでは対応できないということなのですが、ここで「エラー」を出してしまうと、予約はできないと諦めてしまうユーザーも少なからず出てくることが懸念されます。

<2 ヶ月より先の予約に関する案内>

エラーメッセージの下を見ると「2ヶ月より先のご予約に関する詳細はこちら」 というリンクがあり、PCサイトでは、2ヶ月より先の予約に適用される「旅割」プランの案内が出て来ます。

一方、モバイルサイトでは、レイアウトが崩れ気味のテキストによる案内のみとなっており、さらに、これを読んでも、結局、2か月より先の予約はできるのか、できるとしたら、どういう条件やプランになるのかも、今ひとつわかりません。

春休みやゴールデンウィーク期間中の予約をしておきたいと考えるユーザーも多い中、このモバイルサイトでの中途半端な対応が、特にJALに比べてモバイル対応という点で、評価を下げてしまった一因となっています。

一方、モバイルアプリについては、ANAは1つのアプリに機能を集約しており、このアプリを使えば、Apple Watchと連携した出発案内などの機能も利用できたり、また、アプリからモバイルサイトに遷移するコンテンツなどもメニューから確認できたりと、JALに比べて分かりやすい作り・構成になっている点は評価に値します。

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2016.02.18 | ビッグデータ
宿敵・韓国を相手に劇的な逆転勝利を収め、リオ五輪・アジア代表最終予選を制した23 歳以下のサッカー日本代表。先日行われた深夜の熱戦を、固唾を飲んで見守った方も多いのではないでしょうか。

サッカーへの関心を高め、選手層の拡大という点でも、日本のサッカーのレベルアップに貢献したと言われるJリーグの発足から14年目を迎える今年。子供達の間では、野球よりもサッカーの人気が高く、少年野球チームのメンバーが集まらなくて困っている、といった話も聞かれます。

一方、プロに目を向けると、ここ数年、1試合あたりの観客動員数を順調に伸ばしているプロ野球に比べ、Jリーグは、興行的にはやや苦戦しているように思えます。

<Jリーグとプロ野球の1試合観客動員数の推移>

ちなみに、年間の総試合数は、Jリーグの306試合に対し、プロ野球は858試合(いずれも2015年)と2倍以上の開きがありますが、Jリーグ・プロ野球、それぞれについて、1試合あたりのブログやTwitter への書き込みの回数を見ると、ブログは232回 vs.229回、Twitterは、399回 vs.313回と、いずれもJリーグがプロ野球を若干ですが上回っています。(ホットリンククチコミ@係長のデータから。なお、Twitterについては、1/10のサンプリング調査。)

こうしたクチコミデータを見る限り、Jリーグへの関心が、プロ野球に比べて著しく低いとは思えないのですが、誰が、どこでブログの書き込みをしたのかをもう少し詳細に調べてみると、両者の差が少しずつ見えてきます。

<地域別ブログ書込数の比較>

Jリーグは、地域密着を掲げ、プロ野球よりも広く全国に根を張っているイメージがありますが、一方で、ブログの書込数を地域別に見てみると、Jリーグについては、関東地方からの書込が全体の約47%を占めており、プロ野球(約42%)よりも、Jリーグの方が、都市への集中傾向が高いという結果が出ています。

また、一見すると、Jリーグの方が選手のファッションや髪型も自由・多彩で、女性からの人気も高そうな気がしますが、実際には、下図の通り、プロ野球の方が、女性による書き込みの割合は高くなっています。

<男女別ブログ書込数の比較>

これらの結果は何を意味するのでしょうか?

確かにJリーグのチームは、プロ野球チームのない府県にも、多数本拠を構えていますが、プロ野球でも、球団買収を機に、本拠地を福岡に移した当時のダイエーホークスが、地域に根を張るため、様々な営業努力を重ねたと言われています。

また、楽天や日本ハムも、それまでプロ野球チームの無かった東北や北海道に本拠地を構えましたが、それだけではなく、メジャーリーグでも活躍できるような有力選手を獲得し、ついにはリーグ優勝も果たすなど、人気・実力を兼ね備えた球団への成長する中で、地域球団としても存在感を増していきました。

また、プロ野球観戦といえば、おじさんの専売特許というイメージがありますが、一昨年は「カープ女子」という言葉も流行るなど、球場に足を運ぶ女性も増えているようです。これも、積極的なグッズの販売や、広島への観戦ツアーを企画するなど、球団側の努力と工夫の結果と考えられています。

こうしてみると、Jリーグ活性化のヒントも『地方化』と『女性』にあると言えそうですが、その実現には、チームの人気・実力を高めるための、いわば「商品開発」と、チームへの関心や注目を高めるための「プロモーション」という、マーケティングの努力が不可欠だと言えそうです。

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