ANAのウェブサイトも、昨年5月にリニューアルされましたが、正直、最近リニューアルされたサイト、とは感じにくい古さが残っているという印象を受けます。ウェブサイトの上部には、”Inspiration of Japan”というタグラインも記載されていますが、サイト全体を見ても、このタグラインを体現するようなブランドメッセージが表現されているとは言いがたい状況です。
<ANA ウェブサイトのトップページ(PC・モバイル)>
フライトの検索結果のページは、前回ご紹介したJALに比べると、情報も見やすく、「最安値」で利用するための情報も、JALに比べるとわかりやすく表示されています。
ただ、PCサイトの上部に適用料金の条件が記載されていますが(=赤い点線で囲った部分)、「予約変更」「払い戻し」といった項目と離れて、太線で囲まれた中に「可(手数料あり)」と書かれているため、これが何を指しているのか非常にわかりづらいレイアウトになっています。
<フライトの検索結果(PC・モバイル)>
また、モバイルサイトでは、最安値で利用できる往路と復路の組合せを一覧から確認・選択できるようになっているのに対し、PC サイトでは、検索された往路・復路それぞれの日程中で、最安値のフライトが表示される仕様になっているというバラツキが見られます。
第1位のジェットスタージャパンや、JALの解説の中で紹介したキャセイパシフィック航空などの例をみても、最安値で利用できる日程の選択を容易にする仕様になっているのは、今後、さらに激化が予想されるLCCとの運賃競争も意識しているためと考えられます。そういう意味では、ANAについても、フライトの選択画面については、モバイルサイトの仕様をPCでも採用した方が良いように思われます。
なお、国内線の予約について、2か月より先の日付を選ぶと「エラーメッセージ」 が出てきます。実際には、2ヶ月より先の予約は、料金体系が変わるため、通常の予約プロセスでは対応できないということなのですが、ここで「エラー」を出してしまうと、予約はできないと諦めてしまうユーザーも少なからず出てくることが懸念されます。
<2 ヶ月より先の予約に関する案内>
エラーメッセージの下を見ると「2ヶ月より先のご予約に関する詳細はこちら」 というリンクがあり、PCサイトでは、2ヶ月より先の予約に適用される「旅割」プランの案内が出て来ます。
一方、モバイルサイトでは、レイアウトが崩れ気味のテキストによる案内のみとなっており、さらに、これを読んでも、結局、2か月より先の予約はできるのか、できるとしたら、どういう条件やプランになるのかも、今ひとつわかりません。
春休みやゴールデンウィーク期間中の予約をしておきたいと考えるユーザーも多い中、このモバイルサイトでの中途半端な対応が、特にJALに比べてモバイル対応という点で、評価を下げてしまった一因となっています。
一方、モバイルアプリについては、ANAは1つのアプリに機能を集約しており、このアプリを使えば、Apple Watchと連携した出発案内などの機能も利用できたり、また、アプリからモバイルサイトに遷移するコンテンツなどもメニューから確認できたりと、JALに比べて分かりやすい作り・構成になっている点は評価に値します。