コロナと共に始まった2020年も、まもなく、コロナと共に暮れようとしています。
ビデオ会議システムや食事のデリバリーなど、いわゆる「新しい生活様式」の広まりと共に需要が高まった事業・ビジネスもある一方で、人の動きが制限される中、特に観光業は深刻な影響を受けた1年でした。
冬を迎え、新型コロナウィルスの感染者数が増える中、Go Toトラベル事業も停止されるなど、観光業への影響はいまもまだ続いています。
観光庁の調査によると、日本の観光市場規模(2019年)は約28兆円とされています。海外からのインバウンド旅行者が激減したことで、一部の観光地では大きな影響も出ていますが、データをみると、インバウンド旅行者が占める割合は全体の約17%(4.8兆円)であり、実は日本の観光業は内需主導型の産業であることがわかります。
ちなみに日本人による国内旅行市場(約22兆円)は、電力業界とほぼ同じ、コンビニ業界の約3倍の規模であり、2019年のGDP(約560兆円)の4%を占める巨大な産業です。
また、観光業には、
1.全国各地に事業者が存在する
2.中小規模の事業者が多い
3.飲食や物販など観光に関連する周辺事業も多く存在する
といった特徴もあり、観光産業の振興は、地域経済の活性化にも大きな役割を果たすことが分かります。インバウンド観光客が戻るまでには、まだ時間がかかると思いますが、上述の通り、日本の観光産業の8割以上は、日本人の国内旅行によって支えられています。つまり、2021年、日本の観光産業の復活・再生を実現し、地域経済の活性化につなげていくためには、この国内旅行需要をどう取り込むかが非常に重要になります。
ルグランでは、コロナ後を見据えた観光マーケティングのあり方について、11月〜12月に何度かセミナーも開催していますが、最も重要なことを1つあげるとすれば、「旅行者が求める情報は何か」を基準に考える「旅行者ファースト」という視点であると考えます。
たとえば、コロナ時代の新しい旅行の形態として注目されるマイクロツーリズム。多くの人が集まる定番の観光地に出かけるのではなく、地元や近場で、感染リスクを抑えながら、旅行を楽しむという新しい旅のスタイルですが、当然のことながら、ただ待っているだけで、マイクロツーリズム需要が転がり込んでくる訳ではありません。
・コミュニケーションやPRする相手の再定義→地元や近隣地域の人々に語りかける
・楽しみ方や魅力の発掘と提案→近場の観光地の魅力を伝える
・工夫感染症対策: 万全な対策の実施と、それをきちんと伝える努力
といったことをきちんと行い、コロナ下での旅行者の期待あるいは不安にしっかりと応える「旅行者ファースト」のマーケティング戦略がなければ、観光業の再生・復活は遠い先の話になってしまうでしょう。
詳しくは、先日行ったセミナーのレポートもあわせてご覧頂ければと思いますが、私たちルグランも、独自に開発した、データ連携やシナリオ設計不要で、簡単に実装できるマーケティングオートメーションツール『スマートUX』などのご提案も交えながら、来たる2021年、全国各地の観光産業の復活・再生のお手伝いが出来ればと考えています。
世界の人々は、移動や行動を制限されながら、歴史と記憶に残るクリスマスを迎えていますが、2021年は、いつでも、行きたいところに行き、会いたい人に会える、そんな日常が戻ることを期待したいと思います。みなさんも、どうぞ、健やかな年末年始をお迎え下さい。
今年のクリスマスはどこにも行けないけど、来年は旅に出られることを楽しみに、大切な人と過ごそうよというYouTubeで見つけた「替え歌」です。